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マンションを天災から守るマンション総合保険。管理組合が契約して特にマンション共用部に対してかける保険だが、近年この保険料が高騰し、管理組合の財政を圧迫する事態となっているという。連載『マンション羅針盤』の第19回では、賢い保険のかけ方や保険料を抑えるためのテクニックを、保険に詳しいマンション管理士が指南する。(マンション管理士 應田治彦)
複雑化したマンション保険が、管理組合財政を圧迫する
保険料を引き下げるには総合的なマネジメントが必要
5年前と全く同じ補償条件で更新しようとしたのに、保険料の見積金額が2倍になっている――。こんな悲鳴が全国のマンション管理組合理事会から上がっている。マンション管理組合が契約する、マンション共用部にかけるマンション総合保険のことだ。保険料は大規模マンションでは数百万円から1000万円単位となることも多い。
このマンション保険の保険料率が、自然災害の激甚化などを主な理由として、毎年のように大幅に引き上げられているのだ。管理費会計に占める保険料の割合が跳ね上がり、将来の大規模修繕に向けた修繕積立金へのしわ寄せが生じたり、管理費そのものの値上げを余儀なくされたりする事態が全国で相次いでいる。
このような厳しい状況下で、どうすれば保険料を安く抑えられるのだろうか。漫然と「管理会社に全部お任せで、複数の保険会社から相見積もりを取らせればいいよね」と思い込んでいないだろうか。だが、現在のマンション総合保険は、保険料が同じなら補償条件が横並びになるような単純な商品ではない。
保険マネジメントは管理組合運営において、隠れた重要要素になりつつある。理事会自らが保険のメカニズムを深く理解し、主体的に補償内容の取捨選択を行わなければならない。例えば、風災に対する免責の設定方法や、後述する個人賠償責任保険(個賠)をマンション敷地外での事故に適用させないための特約の有無など、保険会社や代理店の方針によって契約内容の実態は大きく異なってくる。
筆者はマンション管理士として年に数十棟ほどのマンションに対して、保険見積もりのための管理状況の診断を実施しているが、適切な保険内容に設定されているケースはまれだと感じる。適切に保険を見直せば、規模や築年数にもよるが、数百万円の削減も可能なのだ。理事会が直面するマンション保険の過酷な現実と、それに立ち向かうための実践的かつ戦略的な保険見直しのノウハウを、具体的な保険の種類、補償方法にまで踏み込んで、それぞれへの対策別に次ページから解説していこう。







