鈴木体制ではヨーカ堂を始め
外食や百貨店にも配慮

 今回の人事により、セブン-イレブンに“占拠”された形のセブン&アイ。確かに、営業利益で見ると、セブン-イレブンはグループ全体の8割超を叩き出す “稼ぎ頭”で、一見、当然のこととも言える。

 だが、鈴木体制の時代、やはりセブン-イレブンが収益の大半を稼ぎ出していたにもかかわらず、こうした人事はしなかった。

 例えば、セブン&アイの社長にイトーヨーカ堂出身の村田紀敏氏を始め、経理担当の取締役に清水明彦氏を据えるなど、たとえ業績が悪くても“祖業”出身者を厚遇することで、創業会社のプライドを保ってきた。また、外食や百貨店といった傘下の事業会社の社長も取締役に抜擢していた。

 一方で、セブン-イレブン出身者は、現在、セブン&アイの社長を務める井阪氏と、副社長を務める後藤克弘氏くらいにとどめていた。

「稼ぎ頭であることは鈴木さんも分かっていた。しかし、『業績がいいからといって調子に乗るなよ』という戒めのメッセージもあって、あえてセブン-イレブン出身の取締役を少なくしていた。一方で、創業企業のイトーヨーカ堂を始めとするグループ企業のモチベーションを上げるため、主要な事業会社の社長や出身者をバランスよく取締役にしていた。こわもてで厳しい印象のある鈴木氏だったが、人事面ではきめ細かい配慮をしていた。そういう意味で人心掌握に長けていたといえるだろう」(セブン&アイ関係者)

 既に、グループ企業からは「各事業会社の事情や状況など知らないセブン-イレブン出身の取締役たちに何ができるのか。やる気がなくなる」といった不満の声も漏れる。だが、そもそも「純粋持ち株会社」としての機能面から見ても、「おかしいのではないか」という指摘もある。