長期的な円高トレンドがついに終了し、今後は基本円売りのスタンスで臨むべきと川合さんは予測している!
<米ドル/円の予測>
★長期的な円安トレンドへ大きく転換した!
ドル/円は、重要な上値抵抗ポイントであった79円台半ばを上抜け、2007年来の円高/ドル安トレンドが転換した可能性が高くなっています。
62週線を上抜けたことや、07年6月の124円14銭を頂点とする5年サイクルの上値抵抗ラインも今年2月に上抜けています。これで、5年サイクルの円高トレンドが終了し、長期のドル高円安トレンドがスタートしたと見ています。
ドル/円は1990年、1998年、2007年と8~9年周期で天井を付けて来たので、少なくとも今後2~3年間は、円安基調が続くと予測しています。
ファンダメンタルズでも、米国の失業率の低下や新規雇用の増加、好調な企業業績など日米の景況感に格差があります。
ただ、3月末の日本の期末を前にした、レパトリ(※)や米国株の調整などで78~79円までのドル安もありそうですが、62週線がある78円台を大きく割る可能性は低く、調整一巡後は、5~6月に向けてドル高の流れが強まり、86~88円をトライする動きが強まると予想しています。
※外貨建て資産の売却による円買い
<ユーロ/円の予測>
★対ユーロでも円安へ! 安値の目安は114~115円
ユーロ/円は、2月20日の週に105円台に乗せたことで、ユーロ高トレンド入りしました。これで1月16日に付けた97円台が大底の可能性が高く、今後数カ月の安値は114~115円とみています。
現状は31週線は104円60銭近辺で、3月中は強い下値抵抗になると予想され、104円台を大きく割り込むリスクは低いでしょう。一方で31ヵ月移動平均線(114円81銭)が長期的な上値抵抗となっています。
可能性は低いと見ていますが、景気減速懸念や、新たな信用不安などにより、ユーロ安が進み、97円を割り込めば、90円方向へのさらなる円高進行に注意が必要となります。
短期的にはギリシャが民間との債務交換交渉に成功するかどうかが注目されていますが、根底にあるのは金融不安に繋がるかどうかです。
昨年末のECBによるLTRO(3年物資金供給オペ)が、市場の混乱を抑えており、しばらくは大きな動揺には繋がらないでしょう。今後は欧州景気、特にドイツ経済が焦点となりそうです。
<豪ドル/円の予測>
★中国や欧州の経済情勢には注意!
豪ドル/円も、豪ドル高円安へと転換しました。1月中旬時点で、三角保ち合いを形成していましたが、83円を上抜けたことで、豪ドル高トレンド形成の動きに入ったと見ています。
ただし、豪ドル買いのポジションが積み上がっており、3月中旬から月末までには、いったん円高方向へ調整する可能性があります。しかし、31カ月線が81円台にあり、80円を割れない限りは調整的な豪ドル安とみられ、82~83円が中期的なサポートとなるでしょう。
今後、豪ドル安局面でも、これが強い下値抵抗になると見られ、その水準は買い場です。可能性は低いですが、80~81円を割れた場合は、中期トレンドが変化して下落幅が拡大しやすくなるので注意が必要です。
現状は中国や米国経済に大きな不安がないことや、欧州の経済指標もさほど悪くないので、当面は豪ドル高基調が続くでしょう。ただし、中国や欧州経済、特にドイツの景況には注意が必要で、IFO景況感指数やGDPの成長率などが注目です。
*ダイヤモンド・ザイ5月号に掲載。5月号は特集は「株価がブレイク寸前の最強日本株75」。その他にも「退職金」を増やすリスクゼロの裏ワザ!、それでも毎月分配型ファンドを買いますか?、「年間100万円×10年」で1000万円貯める大作戦!、1000通貨から始めるFXの円安トレンド攻略法!など。