引きこもる女性は深い苦悩と戦っている。復帰にはどんな支援が必要だろうか(写真はイメージです)

「このままではダメだ」
勇気を出して外へ出てみたが…

「家事手伝い」などの名目で長年引きこもらざるを得なかった女性から、実家を出て自立したいと思っても、「どうすれば1人で生活できるのか、なかなか情報がなくて焦っている」などというメールが届くことが、最近増えている。

 40歳代のA子さんは、都市部の自宅で両親と暮らしている。

 ずっと引きこもってきた後、外に出られたきっかけは、2011年の東日本大震災の際、テレビ画面から流れてきた津波の映像だった。

「このままずっと引きこもっていたら、自分の存在は誰にも知られない。人とのつながりがなければ、誰にも助けてもらえない。外に出なければと感じたんです」

 A子さんは外に出られなかった当時、唯一東北に住む同じように引きこもっていた人とSNSでつながっていた。しかし震災後、消息がわからなくなった。

 A子さんは、勇気を出して外に出た。

 自宅の近隣で「引きこもり自助グループ」が活動していることを知り、相談に出かけた。ただ、実際に行こうと決めてから実際に出て行けるまでには、半年ほどの時間がかかった。

 筆者が運営設立メンバーとして関わる「庵-IORI-」を見ていても感じることだが、引きこもってきた当事者が会場に辿り着き、参加者たちの輪に溶け込むまでには、行ったり来たりを繰り返しながら、幾重もの段階がある。A子さんも、自助会で「この場は安心できて楽しいな」と、生まれて初めて心から感じられたという。
 
 それまでA子さんは、社会経験がまったくなかったわけではない。都心の大学を出たものの、超就職氷河期の中で、どこにも就職できなかった。20代半ばまでは、アルバイトをしていた。ところが、当時、同棲している男性からDVを受け続け、実家に帰った。以来、完全に引きこもった。

 すでに定年退職していた父親は家にいた。ただ、父親に対してはあまりいい記憶がない。帰宅後、父とはあまり話をすることはなかった。

 最近になって、「ま、いいか」という感じで一緒に食事するようになった。なんでこんなことになったのか、なぜなのかはわからない。自分がきっかけでバラバラになってしまった家族。何がきっかけになるかわからない。でも、「良かったな」とは思っている。