複数の女性記者に対するセクハラ疑惑に揺れる財務省・福田事務次官が辞任。またテレビ朝日は、福田次官からセクハラ被害を受けたとされる女性記者たちの中に自社の社員がいた、と発表した。展開がめまぐるしい今回の疑惑事件だが、福田氏はセクハラ疑惑を依然として否定(4月19日現在)。事務次官辞任で幕引きとせず、真相は徹底的に解明すべきだ。
今回のセクハラ騒動でわかったことは、日本の社会がいかにセクハラ問題について理解していないかということ。だから、今回のようにマスコミで大きな話題となった事件は徹底的に解明して、セクハラを生む組織の土壌や文化について日本社会も学習する必要がある。財務省の対応は相当ひどいものだったが、マスコミの対応もひどいものだった。今回はそのことについて書く。
ジャーナリズムの大原則を無視した
財務省の対応
まず財務省。週刊新潮が福田氏のセクハラ疑惑を4月12日発売号で報じた後、16日には公式コメントを発表。そのポイントは以下の4つだった。
以下、『産経ニュース』2018年4月16日記事より引用
一、週刊新潮で報道された女性記者へのセクハラ疑惑を否定。
一、反省の上で緊張感を持って職務に取り組むとして辞任を否定。
一、名誉毀損で新潮社の提訴を準備。
一、財務省は外部の弁護士に委託して調査を続ける。同省記者クラブの加盟各社の女性記者に調査への協力を要請。
この時点でたいした調査もせずに疑惑を否定したのもどうかと思うが、最悪だったのが4つめの「同省記者クラブの加盟各社の女性記者に調査への協力を要請」だ。これではまるで、取材源を明らかにしろとマスコミに迫っていることになる。ジャーナリズムのなんたるかがまったく理解できていない。