いってみれば、大企業には、経験するものをなんでも飲み込んで、吸収していく「うわばみ君」、いわば「課長・島耕作」のような人がいるのだ。もちろんそれはただラッキーの連続だけで高い地位に上り詰めた人と紙一重でもあるのだが。

 余談だが、100年以上の歴史を持つ「宝塚歌劇」では、トップスター(トップ)が劇団の全てを背負うシステムになっている。演目、レビュー、どれをとっても、トップがひたすら脚光を浴びるシナリオ、構成になっている。

 もちろんトップに選ばれるまでに、トップ候補として、それなりの実力を持ち、重要な役割を担ってきた人たちではあるのだが、いざトップになった途端に、さらに人が違ったように立派になり、歴然とその「アウラ(オーラ)」が増すということがある。本人の意識や努力もあるし、劇団が総力でその人を「輝かせる」ために傾注するからでもあるが、大企業で重要な地位に就くことに通じるような「多くのものを背負う地位が人をつくり、育てる」典型例といっていいだろう。

大企業の良い仕事の習慣は、
今の時代も捨てたものではない

 ともあれ、時代は変わり、大企業で身に付けられるような「良い仕事の習慣」が必ずしも、全ての仕事や領域において、良い習慣でなくなってきている部分もある。また、アプリ開発などのように、ちょっとしたアイデアを最先端の技術と結び付ければ、個人でも利益率が高い事業を起こし、脚光を浴びることもある。大企業に属さずとも、才能が発見される時代になってきているともいえる。

 しかし、大人数で仕事をする機会が皆無になるわけではない。そういう能力というのは必ず役立つ局面があり、将来的に比較優位として生かせる可能性が高い。大企業に勤めて、これまで述べてきたような各種の技能を身に付けるメリットを享受するという道も、まだまだ捨てたものではないと思うのだ。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山進、構成/ライター 奥田由意)