そこはさすが、別冊宝島編集部である。最初の章は、ダグラス・グラマン事件や平和相互銀行乗っ取り事件、国際航業株買い占め事件などを手がけた「勝利の請負人」河合弘之弁護士の述懐である。そして、山一證券倒産当時の千葉支店副支店長、投資ジャーナル事件の張本人・中江滋樹氏の証言が続く。

 銀座の名物ママが夜の銀座を潤した企業の接待費の話をしたかと思うと、露木茂氏がバブルに沸いたフジテレビアナウンス部の内幕を明かす。興味深かったのは、1980年代に入省した大蔵官僚の「その後」である。片山さつき氏がいたり、森友問題の佐川氏がいたり、日本相撲協会評議員議長の池坊保子氏の娘と結婚し華道会の事務総長になった者もいる。

 そこから、海外メディアにスクープをさらわれた皇太子さまのお妃報道や、空前の若貴ブームに沸いた大相撲、人気を分けた松田聖子と中森明菜という二人の不世出のアイドルについて書かれた最終章へと続いていく。硬軟をとりまぜながら、時代全体を浮き彫りにする構成になっているのである。

コンプライアンスや
ガバナンスが重視される時代に

 バブルを経てコンプライアンスやガバナンスが重視されるようになった。当時を懐かしみながら、つまらない時代になったと嘆く方もいらっしゃるかもしれない。しかし逆に若い世代は、本書全体に漂う「人間臭さ」に嫌悪感を覚えるのではなかろうか。

 でも、この人間臭さの部分にこそ、最も学ぶべきエッセンスがある。お洒落なビジネス書に飽きたら、こういう本を読んでみると良い。どう正論を振りかざしてみても、別の次元で成否は決まり、人間は常に時代や運命に翻弄されるものなのだ。それは、今も変わらない。