携帯ショップ 東京都品川区のテレニシ店舗ソフトバンクの専業代理店、テレニシが運営するソフトバンクショップは、経営破綻を回避した。写真は東京都品川区のテレニシ店舗 Photo by Reiji Murai

ソフトバンクグループが世界の最先端分野への投資を加速する一方で、携帯子会社のソフトバンクが不可解な出資を行っていることが明らかとなった。不正会計で経営危機に陥った携帯ショップを完全子会社化したのだ。新規上場(IPO)の準備に入ったソフトバンクの内部で一体何が起こっているのか。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)

 全国で約2400店舗を展開する「ソフトバンクショップ」。その中で第3位の規模を持つ携帯電話ショップ運営会社が経営危機に陥り、ソフトバンクを揺さぶっている。

 それは関西を中心に82店舗を運営する携帯販売代理店、テレニシ(大阪市中央区)。4月10日付でソフトバンクがひそかに完全子会社化していたことが本誌の調べで分かった。出資金は19億5000万円で、ソフトバンクには微々たる金額。だが、キャリアが販売代理店を完全子会社にするのは異例だ。

 キャリアの出店リスクと運営コストを抑えるため、「ドコモショップ」でも「auショップ」でも、ほとんどの携帯ショップは、外部企業が運営する代理店だ。

 ソフトバンクも、銀座店や表参道店など直営店を10店舗持つが、これ以上携帯ショップを直接運営する経済的メリットは見当たらない。それでも一挙に82店舗もの携帯ショップを抱え込むことになったのは、テレニシとの切っても切れない関係があるためだ。