長官ポストも握り
権力奪還の足がかりに

 だが、「初代長官こそ、金融監督庁(金融庁の前身)のときと同様に外部から人が充てられるだろうが、2代目長官からは3省のたすき掛け人事になるはず。そして、最終的には財務官僚のナンバー2ポストに戻るだろう。国税庁の持つ権限は大きくなるから、財務省にとっても悪い話ではない」と、他省幹部も話す。

 財務省の中で最も出世コースと言われているのが、主計局の厚労関係に就く官僚たちだ。辞任した福田淳一前次官も、かつて厚労主計官を務めていた。今や国家予算の半分を占める厚労予算を扱う財務官僚は、省内でも超エリートで、彼らは「財務省厚労族」と呼ばれている。

 少子高齢化の影響で、社会保障費は膨らむ一方。そうした中、歳入庁設置によって未納の多い社会保険料や年金の「収入増」を図ることができるのであれば、財務省は喜んで主計局のエース級も送り込むだろう。

 今年度予算で、生活保護世帯への財務省の切り込みが大いに話題になった。各方面から批判があったが、筆者は、生活保護にはもっとメリハリをつけるべきだと思う。本当に困っている真面目な家庭の子どもたちが、進学をあきらめるなど辛い思いをしている一方で、「働きたくない労働者」などには、極めて楽のできる制度になっているからだ。

 財務省の主張は、調査員を増やすなどして生活保護受給者の実態をつかむことができれば、支給額は必ず減らすことができるというもの。総務省は、自分たちの守備範囲に財務省が入ることを嫌がるだろうが、いざ一緒になってしまえば、ケンカ慣れしている財務省の方が有利に決まっている。

 現に、予算折衝などでは財務省の「勝ち」で終わることがほとんど。それゆえに、歳入庁の設立が財務省の権力奪還の足がかりになるのではないかと思うのである。