本来は公表事案ではないのに「特別指導」を公表する一方で、過労自殺の事実を隠したのは、野党の批判をかわして目玉法案の審議を有利に進めるためだったのではないかーと野党は猛反発している。

 野党側はこれまで連日のように国会内で合同ヒアリングを開催し、厚労省の幹部を呼んで問いただしてきた。

 最大の焦点は、野村不動産への特別指導の時点で、加藤厚労相が過労自殺の事実を知っていたのかどうか、だ。

 知っていたのであれば、「過労死隠し」に厚労省のトップが関与した疑いが強まる。さらに、過労自殺があったことを知りながら、国会で「しっかり監督している」と答弁したのなら、「政治的な責任は逃れられない」(立憲民主党の長妻昭氏)との意見も強い。

 しかし野党側の追及に、厚労省幹部は「ゼロ回答」を連発している。

 野党議員 「過労自殺について、加藤厚労相には報告したのか」

 厚労省幹部 「労災認定は、その有無も含めて個人情報につながるので、個人情報保護の観点からコメントを控える」

 野党議員 「特別指導の公表について、いつ加藤厚労相に報告したのか」

 厚労省幹部 「監督指導の個別事案の詳細は回答を控える」

 厚労省幹部はその後、昨年11~12月に、特別指導について加藤厚労相に事前報告を3回行っていたことだけはようやく明らかにした。

 しかし、報告の際に使った資料は、大半を黒塗りにして開示。労災認定した事実も4月に入ってようやく公式に認めたが、特別指導の端緒や過労自殺について報告したか、といった肝心なことは全く明かさなかった。

飛び出した「恫喝」発言
疑惑追及にいら立ち

 疑惑追及に対する厚労省側の焦りを象徴するように、勝田東京労働局長のメディアに対する「恫喝」発言が飛び出したのはこの後だ。