実は彼らのクライアントがほかでもない、あなたの本業の会社の競合だったりすることが往々にしてあるのだ。うっかり渡してしまった資料に本業の会社の情報が載っていて、それが競合会社に届くこともありうる。あなたはそのつもりはなく、本業の会社に背任していることになる。

 あなたが本業の会社でそれなりの地位を占めていたとすれば、かなりの確率で、このような副業のオファーを含めた間接的な競合のアプローチを受けてしまうことになる。本業の情報を引き出そうとする関連、隣接業界から秋波を送られても相手にしないのが吉である。

副業で成功したいなら、
本業の会社に言えないようなことはしない

 結局、本業の会社や周囲に、公明正大に胸を張って言えるような内容の仕事を、最初は小さく始めて、自分の適応力や能力を見ながら、少しずつ増やしたり、広げていったりすると、成功する確率が高まる。最初から大きなことをしようとすると、たいてい本業と副業のあいだにコンフリクトが起き、堪えられなくなる。

 そして、副業として、受けてもいい仕事なのかどうかを判断するポイントは、「周囲に言えるか」、「その仕事で本名を出せるか」、「人に知られて困ることはないか」という点にある。

 周囲に言えないということは、引き受けた副業にどこか後ろ暗いところがあるということだ。そんなことは長くは続かない。上に書いたいずれかの点で引っかかり、早晩本業にも副業にも影響が出てしまう。影響が出るくらいですめばいいが、損害賠償、背任などの事態に発展すれば、目も当てられない。

 とくに、上に書いた注意点の4、5、6などはやってみて初めて気づくということもあるが、それでは、時すでに遅しである。逆に周囲に言える副業なら、自分にとっても実り多く、周囲に助けてもらえることもあるだろう。

 以上、初めて副業をする際に見落としがちな注意点を挙げてみた。くれぐれもちょっとした気まぐれで手を出したり、おだてに乗って自分の首を締めたりすることのないよう、厳しく自分を律して取り組んでほしい。

 注意点を全てクリアしたうえで、本業と副業のあいだを行ったり来たりして、両方の企業にメリットをもたらすことができ、自分もこれまでと違った能力を開発することができれば言うことなしである。そうすれば、単なる副業にとどまらず、「複業で独立」するという道も開かれるだろう。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山進、構成/ライター 奥田由意)