証取所がビジネスを
重視するのは悪いことか

 では、そもそもそれは「悪い」ことなのか。

 問題は何をもって悪いというかだが、従来の基準を曲げて上場の可否を判断しているかもしれないという観点で言えば、今の東証には大きな問題があるだろう。しかし、より大所高所に立ち、日本の株式市場を繁栄させるという観点で考えれば、今の東証の判断はビジネスとしては悪くないと考えることができるかもしれない。

 実際に過去、日本航空、ダイエー、西武鉄道、カネボウ、ライブドアといった企業が次々と上場廃止になったことが、株式市場全体の株価の上昇に大きく水を差すことになった。

 ところが、日本経済がリーマンショックから回復している過程で起きたオリンパス事件の場合、損失を被ったのは事件を知って慌てて株式を売った個人投資家だけである。事件の記憶が薄れた後のオリンパスは、本業も順調で株価は事件当時の3倍の水準で推移している。以前のルールであれば上場廃止の後に底値でファンドに売却され、株主の損失はもっと大きかったに違いない。

 東芝問題も一時はどうなるかと思ったが、結局は東芝メモリを売却しなくても企業が存続できるのではないかと言われるまでに状況は好転している。このような結果が出ているのを見ると、筋はどうであれ、ルールを曲げることも東証のビジネスをうまく運営するためには重要なのではないかと、逆説的ながら考えさせられてしまうのである。

 投資家は、今回のメルカリ上場をどのように受け止めるだろうか。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)