「テイラーとの演奏も、最後のセッションもすべてリハーサルなしの、100%ぶっつけ本番の即興演奏でした。セオとジョーとはそのときが初対面で彼らの音楽も聴いたことがなかったんだけど、それで逆におもしろい演奏ができたんじゃないかな。

即興セッションでのぼくの演奏は、前半は紙やポリエチレンをくしゃくしゃと丸めたり、コインをピアノに落して音を出したり、ピアノの弦に洗濯バサミみたいなクリップをはさんでプリペアド・ピアノをしたり。後半はベルやギター、鍵盤で弾くオルゴールなどなるべくヘンな音が出る楽器を使いました。

セオとジョーも基本的にドローンの上でいろいろな音を変化させていくという演奏。なんでもありでおもしろかったです」

 こうして4月を終えた教授は、しかし今後も忙しい。近々の予定としては、まず5月26日から韓国ソウルに新しくオープンするアート・スペースPiknicでオープニングを記念した教授キュレーションのイベント『坂本龍一・特別展 Ryuichi Sakamoto:Life, Life』がスタートする。

「ソウルの中心部にある古いビルをリノベーションした大きなギャラリーというかアート・スペースのオープニングでぼくの展示をしてほしいという依頼です。

いろいろ考えた末にぼくのふたつのインスタレーション作品『LIFE- fluid, invisible, inaudible...』『water state 1(水の様態1)』の展示と、去年ワタリウム美術館で行なった『設置音楽展』のような『async』のサラウンド再生とアピチャッポン・ウィーラセタクン、Zakkubalanの映像、そして関連資料のスペースを作ります。

ぼくのバイオグラフィを紹介するコーナーや音楽を手がけた映画の上映もある。関連イベントで『CODA』の上映会場でのトーク・セッションなども予定されてます。その準備のために5月の後半にはソウルに行くことにもなっています」

 このイベントの会期は10月14日まで。日本各地からソウルまでは飛行機で約2時間。日本からもぜひ多くの人に行ってほしい。

 もうひとつ、6月になると今度はロンドンで教授キュレーションのイベントが行われる。
これはロンドンを拠点とした音楽、視覚、美術の集団でアナログ・レコード専門のレーベルも持つ「33-33」(サーティースリー・サーティスリー)の依頼によるもの。

「なんでも自由に音楽とアートの企画を出してくれと頼まれて、こちらも気楽に毛利悠子の展示がいい、空間現代のライヴもおもしろいと、いろいろ挙げていったらそれらがみな実現することになった」

 また、もともとは別の話として、アルヴァ・ノトことカールステン・ニコライからベルリンにあるユニークなパフォーマンス・スペースであるフンクハウスが6月に自由に使えるので、そこでふたりでライヴをやろうという計画が持ち込まれていた。

「そうしたら、ほぼ同じ時期にバルセロナのソナー・フェスティヴァルからメイン・アクトで出てくれと。13日がベルリン、17日がバルセロナ、そうしたらロンドンでもやってくれと。それで20日にバービカン・センターでのライヴを入れました。

するとバービカンのほうがこの時期に33-33のイベントをキュレートするのなら、ロンドンのコンサートをそのイベントの一環にしてくれていいよと言ってくれて。ぼくとカールステンとのライヴもイベントの一部となったのですが、さらに偶然に同じ時期に細野さんにイギリスでのライヴの話があるということで、だったらそれも33-33の一環でということになりました(笑)」

 不思議な、まるで「増殖」していくようなこのロンドンでのイベントの詳細、そして韓国での『坂本龍一・特別展 Ryuichi Sakamoto:Life, Life』の模様は次回でお伝えしたい。