私は思いました。デリバリーヘルスの仕事終わりでお客さんと降りてきて、ホテルの出口に5年ぶりに再会する元カレとご両親がいたら…ヒトミさんはどんなリアクションをとるのでしょうか。

 そんな状況、普段の生活ではあり得ない世界ですが、探偵の世界では日常茶飯事です。

 客に扮した探偵から「今からホテルを出ます」と連絡が入り、その3分後ヒトミさんと探偵がホテルから出てきました。

 エレベーターを降りヒトミさんのハイヒールの音が現場にまず届きました。コツ、コツ、コツ…。現場に緊張が走ります。5年ぶりの元カレの正章さん、そしてご両親…。先生の肩にも力が入るのが分かります。

 ヒトミさんが客に扮した探偵に向かい「本日はありがとうございます。またご指名してくださいね」と言い、出口から出てきました。ヒトミさんついに登場!!ヒトミさんは一瞬間がありキョロキョロして、元カレの正章さん、ご両親を見て驚き、最終的には大爆笑してました。

 自分が置かれている状況を把握して、爆笑するしかないと開き直ったんでしょう。正章さんは5年ぶりに目の前にいるヒトミさんを見て本当は抱きしめたかったんだと思いますが、拳を強く握りしめグッとこらえました。後ろから見ても、肩の動きで涙されているのが分かりました。

 ご両親は5年間音信不通だった娘が目の前にいて、生きていることが分かった安堵からか涙が出ていました。対照的にヒトミさんは大爆笑され、4人でそのままタクシーに乗って闇に消えていきました。凄い光景でした。さまざまな現場を経験し百戦錬磨のはずの先生も、キツネにつままれたような表情であっけに取られていました。私からしたら、これも凄い光景でした。

2週間後、2人が探偵事務所に
驚きの報告とは?

『探偵をしていると、映画、ドラマよりもリアルな現場がそこにあるんです』

 2週間後、正章さんとヒトミさんが探偵事務所に来て「結婚する事になりました。ありがとうございました」と言われたときは、この仕事をしていて良かったなと心から思いました。

 ヒトミさんは正章さんに変わってほしいといつも心の中で思っていたそうです。ご両親への音信不通のわけは30歳も過ぎて独身でデリバリーヘルスで働いている自分への自己嫌悪と、ご両親への申し訳なさで、自然と時が経っていたみたいです。

『2人が離れて気付いた本当の愛』そして『探偵の調査力』…点と点が線になる探偵トークでした。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため個人・団体名は全て仮名とし、一部を脚色しています。ご了承ください。