米国の嘘つき癖が
世界を不安定にする

 長々と「米国の嘘の実例」を挙げてきた。米国は頻繁に、大きな嘘をつくことを、ご理解いただけただろう。

 しかし筆者は別に、「道徳論」や「善悪論」を語りたいわけではない。「米国の嘘が世界を不安定にしている」という事実を知ってほしいだけだ。

 考えてみよう。米国は嘘の理由でイラクを攻めた。この戦争の犠牲者は、50万人以上といわれている(NATIONAL GEOGRAPHIC 2013年10月17日)。フセインは確かに独裁者だったが、イラク戦争がなければ、この50万人のほとんどは、今も生きていたのではないだろうか?
 
 NATOは11年、リビアを攻撃した。そのリビアでは、現在に至るまで内戦が続いている。シリアの内戦も11年から、ずっと続いている。この内戦について、米国だけが悪いとは、もちろん言えない。ただし、シリア人権監視団によると、内戦の死者数は35万人以上だという。大国の介入がなければ、犠牲者はずっと少なかったはずだ。

「イラン核合意」の離脱は、中東情勢を極めて不安定にした。これで、イスラエルは「有事の際は米国が助けてくれる」と確信しただろう。日本ではあまり報道されていないが、現在イスラエルとシリア、イランの対立が激化している。米国の「イラン核合意離脱」が、中東大戦争の引き金になる可能性も出てきている。

 そして実を言うと、際限なく嘘をつくことは、米国自身の失墜にもつながるのだ。ジョージ・ソロスは04年、その著書「ブッシュへの宣戦布告」の中でイラク戦争について、こんなことを書いていた。

<アメリカは今日の世界で、他のどの国家も、またどの国家連合も、当分は対抗できそうもない支配的な地位を占めている。
 アメリカがその地位を失うとすれば、それは唯一、自らの誤りによってだろう。
 ところが、アメリカは今まさに、そうした誤りを犯しているのである>(2p)

 筆者は、ソロスのファンではまったくないが、世界と米国は、まさに彼の予言通りに動いている。