結果を出す人の仕事術写真はイメージです Photo:PIXTA

「退職代行サービス」の認知度が拡大している。若者を中心に利用者も増えているという。賛否両論あるこのサービスだが、大手企業で人事・採用の責任者を務めた経験がある石倉秀明さんは利用しても問題はないと考える。その理由とは?

ダイヤモンド・オンライン会員限定で配信中の本連載をまとめた電子書籍『結果を出す人の仕事術』(石倉秀明著)の発売を記念して、特別編をお届けする。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

退職代行、別にいいんじゃない?
元人事の筆者がそう考えるワケ

 退職代行サービスが話題です。「そんなサービスを使ったら逃げ癖がつく」「お金を払ってサービスとして提供されるのだから問題ない」など賛否両論、さまざまな意見を耳にします。

 私としては、「別に使ってもいいんじゃないの?」というのが率直な意見です。

 会社によっては、退職の意思を伝えるだけでも相当なプレッシャーをかけられるところもあります。そういった場合に、退職代行を使って円滑に離職できるのであれば、それは選択肢としてアリだと思います。

「今後の転職に不利になるかも……」と不安に思うかもしれませんが、正直なところ、大半の企業は気にしていないのが実情です。

 想像してみてください。中途採用の面接で「前の会社は、退職代行を使って辞めましたか?」と聞かれるでしょうか。

 そうした確認をする企業は、現時点では一般的でないと思います。「退職代行を使って辞めるのはいかがなものか」という意見が多い割に、実際に退職代行を使う人なのかどうかを確かめている企業はほとんどないのです。

 採用選考の段階でリファレンスチェック(職歴調査)を行う企業も増えていますが、これも本人の同意がなければ実施することはできません。業界内で転職する場合などにうわさが回る……ということはあり得る話ですが、基本的には退職代行を使ったかどうかが問題になるケースは少ないでしょう。

 企業が気にしているのは、前の会社をどう辞めたかよりも、「この人がうちの会社で活躍できそうかどうか」です。横領などの犯罪行為があったなら話は別ですが、そうでなければ、これまでの実績と能力のほうがよほど重要だと思います。

石倉秀明(いしくら・ひであき)
山田進太郎D&I財団 COO。2005年に株式会社リクルートHRマーケティング入社。その後、リブセンス、DeNA、起業などを経て2016年より株式会社キャスター取締役COOに就任(2021年より取締役CRO)。2023年10月の東証グロース市場上場に貢献し、2023年12月からは働き方について研究、調査を行うAlternative Work Labを設立し所長就任(現在も兼任)。FNN系列「Live Newsα」、AbemaTV「ABEMAヒルズ」レギュラーコメンテーター。著書に『これからのマネジャーは邪魔をしない。』(フォレスト出版)、『THE FORMAT 文章力ゼロでも書ける究極の「型」』(サンマーク出版)など。
ダイヤモンド・オンライン会員限定で配信中の連載『「40代で戦力外」にならない!新・仕事の鉄則』の人気記事をまとめた電子書籍『結果を出す人の仕事術』が発売中。