原子力発電所の再稼働に向け、あたふたと動きだす野田政権の姿に「フクシマから何を学んだのか」と情けなく思うのは、私だけだろうか。
汚染は日々深刻になっている。ふるさとを追われた住民は帰れない。売れない作物の品目や産地が広がっている。「除染」のかけ声だけが空しい。
爆発した原子炉から今日も放射性物質が飛び散り、風や雨が運び、子どもの体内被曝が心配される。原子力事故が人の営みの根幹を揺るがしているのに、「我々は何を間違えたのか」という反省もないまま、「電力体制」を復元する愚行が始まった。
原発再稼働3条件は
再稼働のためのお題目
野田政権は、止まっている原発を再稼働する条件を3つ挙げた。
(1)全電源を喪失しても事態の悪化を防ぐ安全対策ができている。
(2)東日本大震災なみに、想定値を超えた地震・津波が起きても核燃料が損傷しないことを政府が確認している。
(3)電力会社が、さらに安全を向上させる対策をいつまでに実施するか計画を作っている。
字面だけ読めば、立派だ。「安全対策」「政府が確認」「実施計画」。どれも耳にタコができるほど聞かされた言葉だ。そんなお題目がいかに虚ろだったか。思い知らされたのが「フクシマ」ではなかったか。
震災当時、「直ちに健康に影響はありません」と無表情に繰り返していた現経済産業大臣が、今度は「おおむね安全が確認されました」と再稼働させようとしている。
枝野さん、あなたはファイティングポーズをとっているかに見えるときもあるが、なぜフクシマであんな事態が起きたのか、教訓を踏まえた政治をしていますか?