柏崎刈羽原発6号機の運転停止により、稼働中の原発は1基となった
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 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所6号機が3月26日に定期検査に入り、運転を停止した。

 これで東電管内は全原発が停止。全国でも運転中の原発は北海道電力泊原発3号機のみとなり、その泊3号機も5月5日に停止することが発表され、「原発ゼロ」の到来が間近に迫った。

「原発全停止は節目とはなり得るが、一番重要視するポイントではない」(資源エネルギー庁幹部)

 当初、3月中の再稼働判断を狙っていた経済産業省の中では「全原発が停止すれば、(再稼働の)ハードルが上がる」(経産省関係者)との声も大きかったが、判断の時期を5月の連休明けから6月ごろまでにずらし始めたもようだ。

 再稼働に当たってのカギとなる要素は二つある。「原子力規制庁の設置」と「今夏の需給見通し」だ。

 枝野幸男経産相は、本誌のインタビューで、「(現在は)需給を管轄するエネ庁の所管より、保安院を所管する大臣としての役割を優先せざるを得ない」と説明する一方で、規制庁の発足後はこれまで“封印”していた今夏の需給逼迫を訴える姿勢を示唆。ただ、関連法案は現在、国会では野党の反対などで審議入りすらしておらず「5、6月にずれるのでは」(自民党幹部)との声も上がっている。

 また仮に規制庁が設置されたとしても、今夏の需給逼迫を再稼働の判断材料とするには具体的な数値がいる。この提示時期についても、枝野氏は「4月下旬か5月上旬くらいをターゲットにする」としており、その後に難航が予想される地元説明などが待ち構える。

 ただ、東電管内に限ると、問題はさらに複雑だ。国会などで事故調査が進んでいるほか、各地へのガスタービンの設置で西日本と比べれば需給は厳しくない。むしろ将来の収支見通しの観点で柏崎刈羽原発の再稼働が必要とされているが、肝心の総合特別事業計画の認可が会長人事の難航で4月にずれ込むなど問題は山積している。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 森川 潤)

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