途中で禁煙に移行した店の理由は
店主が体を壊したからという話も

 一方、飲食店がオープンしたときは喫煙可能で、途中から禁煙店にしたという場合は、「いつからですか」「お客さんの反応はどうですか」「客足や売り上げは変化しましたか」など、これから禁煙店にしたい飲食店が参考になるような話を聞く。

「途中で禁煙店に変えた理由」では、例えば「たばこを吸わない人が煙に対してイヤな顔をするから」「周囲に禁煙店が増えてきて、家族連れも多いから」「分煙だったが、完全禁煙に」などの話があったという。

 伊藤さんは「店は地域マーケティングをする」と言う。「いま来店しているお客さんのうち、何割が来なくなるか、新規客はどのくらい来るかを想定し、てんびんにかけています。どのお店も最初は不安で、試行錯誤するようで、『1年ぐらい、近隣の店を見て回りながら考えていた』という声も聞きました」

 店主が体を壊して、医師に“究極の選択”を迫られたこともあったという。

「ある町の中華料理店は深夜までお酒を出していました。店のおかみさんが1人で切り盛りしていたが、せきが止まらなくなり、医師から『店の営業をやめるか、店を禁煙にするか』と言われたそうです」(伊藤さん)

 店主が体調を崩したという話は、他店でも聞いたという。「お客さんにとってはその時間だけのことですが、店主や従業員にとっては、その毎日が何年も続くわけですからつらいことです」(同)

 仕事を変える、店をたたむというのは、当事者にとって、なかなか難しい。家業の場合はつぶすわけにもいかない。

 喫煙店から禁煙店にするタイミングも悩みの1つ。「今年の正月明けから」「4月1日から」「リニューアルオープンから」と区切りのいい日に踏み切ることが多いそうだ。そのとき、店側の配慮で、「常連には一言、話しておく」という。