具体的なアプローチとしては、2016年のG20杭州サミット、2017年の一帯一路国際協力ハイレベルフォーラム(北京)、BRICS首脳会議(アモイ)、中国共産党・世界政党ハイレベル対話(北京)など“主場外交”を通じて中国発の問題解決・ルール設定・国際協調をもくろんできた。

 本年も11月に中国国際輸入博覧会の開催が上海で予定されている。同会の担当責任者は国務院副総理の胡春華である。これら一連の動きには、中国が“トランプの米国”に向き合う中でうちに秘めてきた「可塑性」という指標が機能しているといえる。

“トランプの米国”は
中国を不安にさせる

 一方、「可予測性」という意味では“トランプの米国”は中国を不安にさせる。

 その一つの起点となったのがトランプ大統領当選後、就任前という微妙な時期にトランプ大統領が蔡英文・台湾総統と電話会談を行ったことであろう。その後「米国が一つの中国という政策を堅持する立場に変化はない」(ポンペオ国務長官、2018年5月23日王毅外相との会談にて、ワシントンDC)という従来の立場に落ち着いたが、一時は「米国は一つの中国を軽視、あるいは実際破棄するのではないか」という懸念が中国共産党指導部を襲っていた。

 台湾問題という意味では、先日成立した《台湾旅行法》に基づいて、今後次官級・閣僚級の米高官が台湾を訪問したり、米台間での公式な往来が活発化、“制度化”されるような状況になれば、中国は黙ってはいないだろう。

 日本の国益という意味でも懸念される最大のリスクは、堪忍袋の緒が切れた中国人民解放軍が習近平に武力による統一を迫り、最近ますます排外的なナショナリズムを高揚させている大衆がそれを支持し、“核心的利益”という大義名分を前にそれらを無視・却下できない習近平が武力行使を容認し、台湾問題を巡って米中が武力衝突に陥るシナリオであろう。日本はその時何を思い、どう行動するのだろうか。