新入社員の指導法には様々な意見があります。時間をかけてじっくりと育てる熟成型。あるいは現場に放り出して厳しさを学び、そこから這い上がる競争型。どれが正しいとは一概に言えません。ただ、時代に応じて変化させなければならないのは事実です。

 つい最近までは「若者は3年で辞める」と言われていたため、モチベーション醸成を目的にした人材育成プログラムが流行っていました。ところが、就職環境が変わり、さらにゆとり教育世代が入社するようになって、新入社員の性質も大きく変化しています。

 この変化を受けて、現場では指導法をどう変えるべきでしょうか、あるいは変える必要が無いのでしょうか。今回は、現場で苦悩する上司と育成担当社員の葛藤から、今の時代にあった新入社員の育成法について考えてみましょう。

人事異動で職場も活性化する4月
新入社員が配属される職場も準備開始

 日本経済の先行指数は軒並み底を打ち、持ち直しの動きが出てきています。昨年の春は東日本大震災の影響を大きく引きずり、様々なイベントも中止され、冬から春を迎える明るさなど微塵も感じられない状態でした。

 しかし今年は、気分一新して新たな年度を迎え、業績も大きく伸ばそう!と意欲にみなぎる雰囲気が、徐々に戻ってきている気がします。

 4月は職場の雰囲気を一新するような出来事がたくさんあります。まず、経営戦略に沿って再編された新組織の始動。部門の統廃合や新規事業の立ち上げなどが行われるのも、大抵はこのタイミングです。当然のように社員の一部が人事異動で職場を動くことになります。

≪平成24年4月1日付で大阪営業所長に任ずる≫

 など、上司から内示を受けて職場を去る人、同時にやってくる人。そんな人の動きは職場を活性化します。やはり同じメンバーで仕事を続けているとマンネリ感で生産性も下がるもの。

 工作機械メーカーに勤務するCさんは、

「職場のメンバーが変わらないと仕事がやりやすいとは限りません。緊張感が無くなり、生産性が低下することさえあります」

 と語ってくれました。やはり組織には、ある程度の新陳代謝が必要と言うことなのでしょう。

 確かに人事異動で職場を去った人、新たにやってくる人の存在で「やるぞ」と意欲が高まるのは事実。それを痛感しているのが食品メーカーで営業をしているDさん(28歳)です。この4月から上司が変わり、新たなメンバーも2名増えました。