「明日やろう」「新年度から始めよう」「締切が近づいたら手をつけよう」……私たちが、普段の生活や仕事の中でついやってしまうのが「先延ばし」だ。この悪癖は、私たちの成功を阻む大きな要因のひとつでもある。そんな人生の大敵であり、私たちの自己実現を阻む「先延ばし」について語った不朽の成功バイブル『DOING IT NOW』がついに日本で邦訳される。今回は、その邦訳版である『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』から、「先延ばし」を打開するノウハウを紹介していく。
自分に話しかけると、パフォーマンスが高まる
アメリカの元経営コンサルタント。それ以前に新聞記者、編集者、上院議員秘書、ロビイストを経験。先延ばし癖と時間管理に関するセミナーを全米各地で開催して好評を博した。哲学、文学、歴史、心理学に造詣が深い。著書に『DO IT NOW いいから、今すぐやりなさい』(ダイヤモンド社)などがある。現在、引退してカリフォルニア州で暮らす。
先延ばしを打開したいなら、一人きりになり、声に出して自分にポジティブに話しかけることも効果的です。鏡に映った自分に話しかける人もいます。プロボクシングの元世界ヘビー級チャンピオン、ジャック・デンプシーも試合前によくこのテクニックを使っていました。
人の目を気にせず、正直になりましょう。現状について自問し、すべきことをしていない理由を問いただしてください。ただし、自虐的になってはいけません。「私はグズでダメな人間だ」ではなく、「グズグズしているとダメだから、これからすぐに課題に取りかかろう」と前向きに表現しましょう。やる気が出てくるように、「必ずできる」と確信し、自分にポジティブに話しかけることが大切です。
他人にどう思われようと気にする必要はありません。これは実証ずみの効果的な方法で
す。多くのスポーツ選手も、試合前にポジティブな独り言を言い、気分を盛り上げ、パフ
ォーマンスを高めています。
実際、研究者たちは、ポジティブな独り言が心の姿勢を改善し、セルフコントロールを高める画期的な方法だと指摘しています。私たちの心は、アファメーション(肯定的な自己宣言)や口頭での命令にポジティブに反応する傾向があります。それが権威者ではなく、自分が発したものであってもです。
もちろん、必ずしも声に出す必要はありません。心の中で自分に注意を促して同様の効果が得られるなら、それでもいいでしょう。しかし、それで効果がないなら、自分の声と耳を使ってインプットを強化しましょう。
実業家のジョン・ロックフェラーも、ポジティブな独り言を言っていた偉人の一人です。創業して間もないスタンダード石油(現エクソンモービル)を軌道に乗せるために苦労していたころ、「未来は現在の過ごし方にかかっているから、自分を見失わないように気をつけて着実に前進しろ」とたえず自分に言い聞かせていました。
また、デール・カーネギーも、それを毎日のルーティンに組み込むべきだと力説しています。彼は「毎日、自分を鼓舞するのはけっして浅はかなことではなく、心理学的に健全な行為だ」と主張しました。毎日のように自分を鼓舞する必要があるかどうかは別として、人生がうまくいっていないと感じたら、ときおりひそかに自分を鼓舞すると効果的です。