ついでに言えば、安倍政権の成長戦略の一翼を担うはずの規制改革会議の方も、答申の内容はまずまずだったものの、そこに行き着くまでの顛末はやはり褒められたものではありません。

 今年の規制改革の目玉は放送改革になっていますが、当連載で何度も言及したように、官邸は放送法第4条の撤廃と放送のハード・ソフトの分離という、今の日本経済で最優先とは言えない問題に、自らの矮小な思惑からこだわり続けました。

 しかも放送業界の強硬な反対により、4月段階では一度は諦めたにもかかわらず、5月になったらやはり長期的な課題として答申に書き込もうと、最後まで諦めなかったのです。

 だからこそ、本来は規制改革会議で“電波改革”として始まった検討が、いつの間にか“放送改革”に衣替えしてしまい、しかもそこに放送法第4条撤廃などを入れるかどうかという、ムダ極まりない調整に2ヵ月も費やしているのです。

成長戦略への取り組みは
森友・加計問題よりもひどい

 これらの事実を考えると、森友・加計問題に対する官邸の対応はひどいですが、官邸の成長戦略への取り組み方はそれ以上にひどいのです。日本経済の将来のために重要な課題には無関心、その一方で自らの偏った関心に基づく課題にだけ執着するというのは、経済政策の観点からどうなのかと思ってしまいます。

 確かに安倍政権は、外交と安全保障ではしっかりとした成果を残しつつありますが、このままでは仮に安倍首相が9月の自民党総裁選に勝ったとしても、経済政策についてはレガシーなき長期政権になってしまい、それが日本経済の将来に大きな禍根を残すことになってしまうのではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)