今後もしっかりやっていきます。過去エリクソンとの合弁事業だったため、製造・調達・販売のチャネルがみんな分かれているという非効率がありました。これを完全に統合して効率化するほか、これまでイメージング(カメラ)事業で成果を上げてきた石塚茂樹執行役をあててもう一度立て直します。スマホはいまや電話というよりもむしろカメラとして使われているデバイスになっています。カメラ機能を軸に商品力を上げていき、立て直します。

ソニー・吉田憲一郎社長

 また、ブランデッドハード事業(旧エレクトロニクス事業)ですが、第一次中計の12年~14年の間で約3000億円赤字を出しましたが、第二次中計期間の15年~17年の間で3000億円利益を出しています。利益回復の牽引役になっているのは明らかにこの事業で、キャッシュフローを創出しているのです。一方、このブランデッドハード事業のラインナップがテレビとデジカメだけしかない状態で、製造から販売までのサプライチェーンを回していけるか、という問題があります。モバイルは半導体の調達量も多く、ソニーとしての調達力を作るうえでも重要。こうした面からブランデッドエレキを今後長い間やっていくにあたって、モバイルは続けていくべきだと決めた。これが真意です。

 また、5G(次世代通信技術)そのものが あらゆる製品に影響する可能性がある。カメラなどにも通信技術がすでに搭載されていますよね。この技術は研究開発をするだけではなく事業を続けていなければ身につかない。アンテナの技術も実際に事業を継続することで習得できるものがたくさんある。

――ソニーが今後直面するリスクは何だと考えますか。

 グーグル、アマゾンなどのデータメガプレイヤーの存在は大きい。ソニーは「人ってそれぞれ個性があるよね」と言って人に近づくことで生き残ろうとしているが、メガプレイヤーは力があるのでいろいろな打ち手があり、脅威です。かつて新たな半導体技術であるトランジスタをラジオに使うことで革新的な製品を作ったように、データとAIをどう使って、コミュニティ・オブ・インタレストを広げられるか。ユーザー、クリエイターに近づけるかがカギです。

 私自身は2005年に、一度ソニーを離れようと心に決めて退職しています。それまで出向扱いだったSO-NET(ソネット)に、ソニーから退職金を受け取って退職して移籍したのです。ソニーが嫌いになったわけでなく、独立したかったから。でも、2013年の秋に平井(一夫会長)に手伝ってくれと頼まれ、ソニーに戻ってくるときに思ったのは「ソニーには世話になった」ということ。ソネットという小さい会社ではあるけど、任せてくれて社長をやらせてくれて上場という体験までさせてくれた。いい機会をあたえてくれた。恩返ししたいと思ったんです。