ヒトラーのプレゼンの優れた部分はどこなのかという大きな話から、医師に自分の病状を正確にプレゼンすることによって的外れな診察を避けることができる話など、幅広いテーマを扱いつつも一貫して聞いてくださる方全員にとって「自分事」になるように話をしました。

 ちなみに、スライドを使わずにプレゼンをするケースとして多いのは、パネルディスカッションです。複数のパネリストがそれぞれの立場から話をするパネルディスカッションでは、ファシリテーターの問いかけに、短い時間で自分なりのストーリーを加えて応えます。この場合にも、私のアプローチは同じで、「いかに本質的な話をして、聴衆の自分事にするか」を最大のポイントにして、自分なりのストーリーを交えてお話ししています。

 普段の会社でのミーティングなどは、このパネルディスカッションに近いものが求められると思っています。会議の進行役が何かの話題を振った時に、瞬時に応えることができれば、自分の株を上げることもできます。会議での発言は、プレゼンテーションそのものですから、使うスキルは全く同じです。参加者全員が当事者意識を持てる、すなわち「自分事にできる」話題を提供するように心掛けましょう。

 こうした会議などの場で語るべき物事の本質は、「いかにいい未来を創るか」という点に尽きます。過去の振り返りをするのではなく、どうすれば何かを解決して前に進めるのか、どのような方法で今存在しない素晴らしい製品やサービスを世の中に出していくのか。それこそが「本質」です。ぜひとも本質を突き詰める話をするように心掛けてください。

【プレゼンの大事な要素(2)】
「聴衆の反応」を常に受け取る

 スライドや資料を使わず話をすると、聴衆と向き合う時間が圧倒的に長くなります。緊張しやすい人は、つい我を忘れて妙に早口になったり、余計なことを言ってしまったりして、あとで落ち込んでしまったこともあるのではないでしょうか。

 スライドなしプレゼンの時に大事なのは、聴衆との一体感をより一層意識することです。そのために必要なのは、必死に話すことではなく、相手に話をしてもらうこと、もしくは相手に反応してもらうことです。少人数での場であれば、とにかく質問を中心に相手となるべく多くの言葉を交わすことが効果的です。