スターバックスコーヒーの歴史、文化、伝統、価値観などに関する概念的な内容と、バリスタ(コーヒーの作り手)に必要なスキルトレーニングがすべて店舗で行われます。まさに、スターバックスコーヒーの付加価値である顧客体験の発生現場で、実体験に基づいた教育が行われているのです。

 ここで重要な役割を担うのが、店長です。各店舗でそれぞれの店長が自分の言葉と経験によって新人を教育するので、当然店長によってバラつきもあるでしょうし、店長の力量によってスタッフの成長速度も大きく変わってきます。

 しかし、ここでも、スターバックスコーヒーがこだわったのは、オーナーシップです。つまり、「人材育成の責任と権限は現場にある」という意識が店長の意識を変え、育成と成長の過程を目の当たりにすることで、人材育成に積極的に関わるモチベーションが生まれるのです。

 スターバックスコーヒーの最大の付加価値である突出した顧客体験は、パートナーや店長の「オーナーシップ」の意識によって生まれ、それによって生まれる高いモチベーションが、スターバックスコーヒーのブランド力に直結しているということです。

成功の鍵は独創的な「リーダー育成」にあり

 店舗運営や人材育成の中心的な役割を持つ店長は、いかに育成されるのでしょうか。

 スターバックスコーヒーのリーダー育成は、独創的なアイデアに満ちています。付加価値を体現する役割を担う店長・リーダーには、3つのポテンシャルが求められます。それは「意欲」「能力」「エンゲージメント」です。

 業務を遂行していくためのスキルだけではなく、「人のために貢献しようという意識や行動」「スターバックスコーヒーとの強い信頼関係」という要素が盛り込まれています。

 ここで注目したいのが、リーダーを選抜していく基準のなかに、「売上成績」といったパフォーマンスに関わる要素が含まれていないことです。