『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
三田紀房の受験マンガ『ドラゴン桜2』を題材に、現役東大生(文科二類)の土田淳真が教育と受験の今を読み解く連載「ドラゴン桜2で学ぶホンネの教育論」。第133話は、合格発表後の「受験生の心構え」について考える。
「運が良くて合格しただけ」の裏側にあるもの
東大受験を目前に控えた龍山高校の早瀬菜緒。テスト終了間際に気が緩んでしまうことを東大合格請負人・桜木建二に指摘される。桜木は早瀬を叱責した後、「お前の運は最強だ!絶対に合格する!」と励ますのだった。
3月10日を過ぎ、主要な国公立大学前期日程の合格発表が、おおむね終了した。開成高校からの東大合格者(速報値)が同校歴代4位となる197人に上ったり、東大から科類によって採点基準に差を設けていない旨が公式に発表されたりと、大学入試に関連するニュースが話題を集めている。
合格した受験生の中には、受験中の模試の判定が低かったり、進学校出身じゃなかったりすることで「自分は運が良くて合格しただけだ」と口にする人もいるかもしれない。だが、そんなことはない。それはむしろ、この言葉は単なる謙遜というよりも、入学後に周囲のレベルの高さに圧倒され、自分の成績が振るわなかった時のための予防線を自分や友達に対して張っているに過ぎない場合が多い。
そうして無意識のうちに「運で合格した自分」というイメージを固定化してしまう。周りの友人はそんな予防線を張っていたことなど全く気にしていないし覚えてもいないのだ。入試を突破した以上、合格はまぎれもなく合格であり、堂々と胸を張ればいいと思う。
とはいえ、合格の余韻に浸る間もなく、新入生には煩雑な手続きが押し寄せてくる。入学金の振り込みはもちろんのこと引っ越しをする人もいるだろう。意外と頭を悩ませるのが第2外国語の選択である。
大学生活は入学前からすでに「情報ゲー」の様相を呈しており、特定の進学校出身者であれば、こうしたノウハウが当たり前のように先輩から後輩へと共有されている。そうした情報網を持たない新入生にとっては、第2外国語選びやサークル選びは大きな悩みの種となるだろう。
新入生を装うアカウントの“本心”
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
早いところでは入学手続きの前から新歓活動がスタートしていることも珍しくない。そこで情報収集のツールとしておすすめしたいのがXなどのSNSである。インスタでは「キラキラした」サークルや授業の情報が見られ、逆にXなどでは表では語られづらい、リアルでネガティブな裏情報まで拾うことができる。
もちろん、玉石混交のネットの海から、情報の真偽を自分で確認するリテラシーは必須となる。近年は大学側の取り締まりで減少傾向にあるものの、新入生を狙うカルト系の宗教団体による勧誘などには十分な警戒が必要だ。一見すると面白そうで魅力的な団体であっても、まずは大学公認のサークルであるかどうかを確認する冷静さを持っておきたい。
さらに、新入生を装ってフォローリクエストを送ってくる新規アカウントには要注意だ。もちろん大学生になって新しくSNSのアカウントを作る場合もあるだろう。ただ、企業などが新入生らしきプロフィールでフォロワーを集め、後にインターン募集や就活関連のアカウントに様変わりさせる手段を用いることがある。浮かれている時期なだけに、冷静さを忘れないようにしたい。
そして、大学生活の情報を集める際にもう一つ忘れてはならない視点がある。それは、必ずしも優秀な先輩のアドバイスが最適とは限らず、むしろ「怠惰な先輩」に話を聞いた方が良いかもしれないということだ。
大学では自分で自由に授業を選べるが、個人の持つキャパシティや処理能力は人それぞれ大きく異なる。何事もこなせる優秀な先輩の基準が自分に最適とは限らない。
大学生活を賢くハックするためには、身をもって経験した失敗談や、上手な手の抜き方を知っている先輩からの情報の方が、自分にあったキャンパスライフを送れる鍵になるだろう。
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク
『ドラゴン桜2』(c)三田紀房/コルク







