アデコでは、こうした法改正を踏まえて「キャリア開発があたりまえの世の中をつくる」を中期事業計画に据えている。その一つとして、雇用が安定する「無期雇用派遣サービス」の確立を目指し、2016年から「キャリアシード」と言われる、通常より高いスキルを持った無期雇用派遣社員の採用を行ってきた。

 また、改正労働契約法によって義務づけられた無期雇用転換も積極的に行っている。「有期契約を繰り返し、雇用が安定しない派遣社員から『自分たちも無期雇用になりたい』という声を多く聞いた」とアデコの川崎健一郎代表取締役社長は言う。

 とはいえ、現状では、派遣会社を替え、そこから新しい派遣先で働く場合、最低でも3年経たないと無期雇用にはなれない(注1)

10月に「3年ルール」を迎える人は
今後の就業先や雇用が不透明

 また、10月に「3年ルール」を迎える人は、派遣会社と派遣先企業との交渉の結果を待つしかない。派遣先企業での直接雇用や、派遣会社による無期雇用への転換といった雇用の安定措置は取られるものの、今後の就業先や雇用形態がどうなるかについては不透明で、先行きに不安を感じている人は少なくない。

 アデコでは、こうした現状を踏まえて、4月末からアデコに登録している派遣社員を対象にハケン2.5のテスト運用を実施。すでに無期雇用として採用され、新たな就業先で働いている人や、「3年ルール」を待たずに同じ就業先で働けるようになった人もいるという。

 現在の就業先で無期雇用として働くことに関しては、「今の就業先で働けるようにお手伝いはしますが、必ずしも継続できると保証はできません。無期雇用派遣サービスは、就業先に請求する料金が高くなりますし、就業先から無期雇用を発注いただけないケースもあります。そうなると、別の就業先を紹介するケースが出てくると思います」(川崎社長)というので注意は必要だが、ハケン2.5で採用されれば無期雇用になるため、安定した雇用は保証される。

 一方、アデコがテスト運用中の説明会に来た参加者の中には、「何年も同じ職場で働いてきた派遣社員で、6月末に本人も含めた全員が契約終了になったという切実な方もいました」といい、「われわれが想定している以上に、『雇い止め』が発生しうることに気づかされました。1人でもそういう方を救済するセーフティーネットが必要なのではないかと思っています」とキャリア推進室の増山辰祐室長は話す。

(注1)派遣社員が契約期間5年を待たずに無期雇用の転換を申し入れはできるが、派遣会社が無期転換の義務を負うのは5年を超える契約から。