企業側が監査法人を嫌っているだけではなく、監査法人側も企業側との契約を望まず、解約が起きていることがわかる。

 さらに準大手以下の監査法人の交代を対象にした調査だと、最も多いのが「監査リスクの高まり」を理由に監査法人側が契約更新を行わなかったケースだ。

東芝不正会計事件で激変
金融庁の指導強まる

 なぜ、こうなったのか。交代増加の背景に監査法人を取り巻く環境の激変がある。

 ある監査法人の代表はこう話す。

「2011年のオリンパス、2015年の東芝という2つの大企業による不正会計問題の発覚で、金融庁は監査法人に対する不信感を強めた。そのため、指導監督などの締め付けがどんどん厳しくなっている。監査法人が調査をしなければいけない項目が増え、業務量が年々増加している。これが上場企業との契約の判断に大きな影響を与えている」

 金融庁は監査法人最大手の新日本監査法人が47年間も東芝を担当していて、大規模な不正会計を見逃した失態を踏まえ、不正の原因を「癒着」ととらえた。

 東芝不正会計事件が明るみになった直後の15年秋、『会計監査のあり方に関する懇談会』を設置し、これまでの監査のあり方を見直す方針を明らかにした。監査法人を一定期間ごとに強制的に交代させて癒着を防ぐ「ローテーション制度」をいずれは導入したいという考えのようだ。

 翌16年3月には懇談会の委員がいくつかの「提言」を出した。だが提言の中身は「マネジメントの強化」や「企業の不正を見抜く力の向上」「『第三者の眼』による品質のチェック」などといった会計士が初歩で覚えるような基礎的内容だった。

 だがこのことが逆に監査法人側に「金融庁の怒り」を印象づけることになった。「監査法人は監査の基本も十分にしていないのではないか」という不信だ。

 それだけではない。4大監査法人に対しては、金融庁幹部から「企業の経営トップとコミュニケーションをとり、財務諸表をきちんと見ていれば、不正会計など起こらなかったはず。二度と起こすな」と厳しい言葉が伝えられたという。