金融庁が昨年5月に設定した「機関投資家の行動規範」(スチュワードシップ・コード)において、株主総会における議決権行使の開示が義務づけられた。これにより、年金基金をはじめとする機関投資家は、その投票行動が経営側一辺倒では済まなくなった。そうした意味で、今年の株主総会は「株主提案元年」ともいえるが、これまでの3月総会では、ほとんど経営側が勝利している。日本では、まだ株主提案を受け入れる“土壌”が整っていないのだろうか。(ジャーナリスト 司理)
株主提案が相次ぐが
ほとんどが否決
ここ数年、株主総会をめぐっては「アクティビスト」、いわゆる「モノ言う株主」がさまざまな株主提案を行っている。
例えば2017年には、日本の「モノ言う株主」であるストラテジックキャピタルが、内田洋行に対して、取引先などの保有株式を売却して2017年7月期の1株当たり連結純利益と同額を配当に充て、配当実績が75円のところを188円配当するよう求めた。ストラテジックは、図書印刷にも保有株を処分した利益などから120円の配当を求めていた(配当実績は8円)が、いずれも否決された。