社会的企業(起業)として、どうやって仕事をつくり出していくか。そのことを常々考えてきた柳井さんは、地元の埼玉県鳩山町でコミュニティカフェの展示会に参加。そこで、ロボットや自作のゲーム体験コーナーを設け、地域の制作担当者らに興味を持ってもらったことにより、そのつながりで同事業所の佐藤理事長から声をかけられた。

当事者の起業を応援するコンフィデンス日本橋の佐藤理事長

 就労移行支援事業所の対象者は、基本的には就労や自立を目指したい人たち。障害者手帳を持っていなくても利用できる。柳井さんは「会社の事務職で働いているが、今はプログラミングが話題になっている。プログラミングとはどういうものか知ってもらうような企画で楽しんでもらう、レクのような内容にした」という。

 柳井さんは、講座の報酬の中から、講座のアシスタントをしてくれる当事者には1時間1000円程度を支払うことを考えた。さらにアシスタントを通して、一緒に仕事をしてくれる当事者を見つけていくことにより、「当事者たちの中間的就労の機会につながるようにしていきたい」というのがポイントだ。

 こうしたコンピューターによるレクは、高齢者にも向いているので、福祉施設からのオファーも受けたいと考えている。

いきなり就労はつらいけど
「協働」ならできるのでは

 この日は、神崎正弘さん(41)がアシスタントとして講座を受け持った。

 神崎さんも、過去に2年間の引きこもり経験がある。学生時代、コンピュータグラフィックの学校に通い、IT系の知識を身に着けてきた。しかし、現在も仕事には就いていない。

 外に出られるようになっても、通勤生活には障壁があった。今年度、講座を手伝おうと思った理由について、神崎さんは「いきなり就労するのはきついけど、協働という形なら上手くいくのではないか。身体を馴らしていくのが一番かなと思い、参加しました」と話す。

「アシスタントとして、つまずいている人がいたら手助けできる。生活訓練事業所でプログラムに参加するよりも、こういう協働活動という形のほうが満足感は高い」(神崎さん)