桂歌丸さんの訃報に伴って、たばこに対する風当たりがさらに厳しさを増している。歌丸師匠の病気、COPDは「たばこ病」と言われるくらい、喫煙と関係が深いからだ。しかし、これ以上喫煙者を追いつめれば、恨みを募らせて人を傷つける喫煙者が出かねない。(ノンフィクションライター 窪田順生)
歌丸師匠の病気、COPDは
通称「たばこ病」
「笑点」でおなじみの桂歌丸さんが亡くなった。子どもの頃から楽しませていただいた噺家さんの訃報は本当に寂しい。この場を借りて、ご冥福をお祈りしたい。
その一方で、個人的に注目しているのは、今回の訃報にともなって、「たばこ」に対する風当たりがさらに強くなっているということだ。
「歌丸さん ピース1日1缶、50本を50年…肺気腫再発でやめる」(デイリースポーツ7月2日)
「歌丸さん 慢性閉塞性肺疾患は通称『たばこ病』 根治的な治療法はなく…」(スポニチアネックス7月3日)
見出しから想像できるように、歌丸師匠の死に「たばこ」が少なからず影響を与えていたと匂わすような報道が、スポーツ紙や、それを「壁読み」する情報番組などにちょいちょい出てきている。これを受け、ネット上には「死因はヘビースモーカーだったから?」などという言説も散見されているのだ。
もちろん、このような話が出るのは致し方ない。歌丸師匠を苦しめていた慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主な原因は、「たばこ病」という呼び名のとおり、約90%の確率で喫煙や受動喫煙とされており、なによりも師匠自身がCOPDの啓発ポスターのなかで、「たばこ」が及ぼす健康被害を訴えていた。
「高座でも、楽屋から座布団まで歩いただけで息が苦しくって、話しづらくって、どうにもいけません。お医者さんに聞いたら、『COPD』って肺の病気なんですって。なんでも原因の90%以上はタバコと関係してるらしい。あたしもタバコとはずいぶん縁が深かったですからね。でも、あんなに苦しい思いは、もうごめんこうむります。この際だから、タバコとはスッパリ縁を切りました」