東京都が今月12日に提出する「受動喫煙防止条例」への、愛煙家からの反対が激化している。実は、欧米など海外の屋内禁煙の国々では、屋外の喫煙スペースがそこら中にある。屋外でもダメ、屋内でもダメ、という日本のやり方ではギスギスした社会になってしまうだろう。(ノンフィクションライター 窪田順生)

東京都の喫煙防止条例を巡り
小規模飲食店は猛反発

欧米や中国、ロシアでは屋外にたくさん喫煙所がある
欧米はもちろん、中国やロシアでも屋内は禁煙。それでも愛煙家が暴れないのは、ルールを守る国民性なんてものではなく、ちゃんと合理的な理由がある

「お客様の楽しみを奪うな~!」「奪うな~!」

 今月1日、そんなシュプレヒコールが、昼下がりの新宿駅西口に響き渡った。喉を枯らす人々の手には『お客様と事業者に「喫煙」「分煙」「禁煙」選択の自由を!』という横断幕が掲げられていた。

 これは東京都が12日に提出する「受動喫煙防止条例」に反対する抗議デモだ。本条例は、飲食店の規模にかかわらず、従業員がいれば一律で禁煙とするということが最大のポイントとなっている。つまり、国の法案では「例外」とされている、バーやスナックという小規模な飲食店も容赦なく「全面禁煙」とされるので、都内の飲食店の84%が対象となるという試算もある。しかも、違反者には5万円以下の過料も適用されるのだ。

 そう聞くと、「禁煙の店が増えるのは喜ばしいけど、バーやスナックは子どもとか行くわけじゃないからやりすぎでは」と思う方もいるかもしれない。実は先の抗議デモが訴えているのもそこなのだ。

 主催者は、東京都生活衛生同業組合連合会、東京都麻雀業協同組合、東京都たばこ商業協同組合連合会など。つまり、国の規制では「例外」とされている小規模な飲食店やたばこ屋などを経営する人々なのだ。

 もちろん、「いやいや、いくら事業者と客が良くても、煙モクモクの中で働かされる従業員を守るためにもこれくらいの規制は必要だ」という意見もあるだろう。

 12日に開会する都議会でもぜひ建設的な議論をしていただきたいが、その一方で個人的には、日本の喫煙環境の「特殊性」ということにも目を向けなければ、議論そっちのけで、イデオロギー同士の衝突になりかねないと危惧している。