仏の大手部品メーカーが
48V電源で走るBEVを開発
自動車の車載電源を現在の12V(ボルト)から48Vに高め、この電圧を利用してエンジンを補助する小型電動モーターを駆動させ、燃費を向上させる48Vマイルドハイブリッド車を、欧州メーカー各社が開発している。すでにメルセデス・ベンツ、アウディ、ボルボ・ポールスターが市販モデルを発表しており、今後1~2年で「ほぼすべてのブランドから48V車が出そろう」といわれている。そんな中でフランスの大手部品メーカー、ヴァレオが、48V電源で走るBEV(バッテリー式電気自動車)を開発した。軽量で安価なBEVの提案である。
現在、最先端のBEVはシステム電圧200V以上の車両が多い。電圧を高くするほうが電池利用の効率がアップするからだ。しかし、200Vは各国の電気関連法規で高電圧の扱いになる。低電圧と高電圧の境目はだいたい60V。高電圧になると電源系の安全性確保や保守点検の基準が特別扱いになり、コストがかさむ。48Vマイルドハイブリッドが注目されている理由は、低電圧でまかなえる電動モーターアシストの方法だからである。燃費向上効果はそれほど大きくないが、システムコストを低く抑えられる。
5月の人とくるまのテクノロジー展2018横浜でヴァレオが発表した“48Vシステムを使うBEV用モーターユニット”は、車両重量600㎏程度の小型コミューターを想定しており、モーター出力は15kW程度だ。試作車は中国・山東省新太陽電動車有限公司が量産する小型コミューターBEV、知豆(ジドウ)の72Vシステムと載せ換えるかたちで製作された。48V電源はハイブリッド車に対応できるが、「BEVは不可能」といわれていた。だが、ヴァレオはこれに挑戦した。車体を軽く仕上げるには電池搭載量が制限され、走行距離が短くなる。それでも成立するBEVのカテゴリーは存在する、という考え方だ。