問題2:車両での移動が危険すぎる

写真4(市場関係者提供)
写真5(市場関係者提供)

 店舗のスペースや床の問題は、結局のところ、国内設計業界の最大手である日建設計が、市場の業務の実態を理解しないで設計し、そのまま建設されたことが要因である。それは他にも、人命にかかわりかねない重大な問題を生み出した。

 写真(4)は、豊洲の6街区で1階の仲卸売場と、4階の買い出し人のための駐車場とを車両で移動するためのスロープだ。

 築地では、時間に追われた市場の男たちがかなりのスピードでターレを運転し、場合によっては「じゃまだ!どけよ!」などと怒声を上げながら行き交う(写真5)。危険であり、実際に事故も起きている。さらには、より重量のあるフォークリフトも走る。とはいえそれは、まだ平坦な築地市場でのこと。

 豊洲のスロープの傾斜角は10%だ。10メートル前進して高さが1メートル上がる計算であり、かなり急である。

 写真(4)からはわかりにくいかもしれないが、例えば箱根登山鉄道の最大の傾斜角は8%であり、10メートル前進しても80センチの高さしか上昇しない。それでも、車輪の力だけで動く鉄道の中では日本一の急勾配なのだという。豊洲のスロープはそれをも上回るのだ。

写真6(市場関係者提供)

 しかもスロープの幅員は6メートルとターレ3台がようやく通れるほどしかないうえに、1階から4階までの距離は、中間のU字型カーブ(写真6)を挟んで計120メートルにも及ぶ。そんな通路に、上下の階からターレが荷物を満載した状態で何台も密集して行き交うことになる。ましてや大量の海産物を運ぶのだから、路面が常に濡れていることを考えれば、空恐ろしい。「乗用車を運転した経験のある人が築地の現状と豊洲のスロープを見れば、大量のターレの通行はまず無理だと気づくはず」(市場関係者)。

 事故への対策として都は、写真(6)のように、U字型のカーブ正面の壁に、1.5~2メートル四方のカーブミラーを設置したが、どれだけ効果があるだろうか。

 だからといって、ターレの通行や速度を極端に制限すれば、逆に市場本来の流通機能を著しく損なってしまう。一体、どうするつもりなのか。