一律の働き方改革の押し付けが
生産性を逆に下げる理由

 単純化したモデルだが、目標達成型の人は高度プロフェッショナル制度や事業所外労働になじみやすい一方、公私調和型の人は時間労働になじみやすいし、自律裁量型の人は在宅勤務に、他者協調の人は固定席に合いやすいと言える。どの働き方が良い悪いではなく、働く人の性質によって、向き不向きがあるのだ。

 当たり前だが、社員一人ひとりには個性がある。にもかかわらず、職種や給与水準という外形的な基準を一斉に変更しようとしたり、会社の運用上の都合で、裁量労働やテレワークを一方的に推進して働き方の多様化を実現しようとするだけでは、それに向いている社員はハッピーになる一方、不向きな社員のストレスは増大してしまう。結果、生産性が高まらないという本末転倒な事態に陥ってしまうのだ。

 働き方改革だけではない。実は、通常のさまざまな業務においてパフォーマンスが上がるかどうかは、その業務を果たしやすいモチベーションファクターと、自身のモチベーションファクターの一致度が高いかどうかにかかっている。逆に一致度が低いとパフォーマンスは低下し、ストレスを感じやすくなるのだ。

 モチベーションファクターを見極めるスキルを身に付けることは難しいことではない。初めて演習に参加したビジネスパーソンの6割程度が、2時間の演習を行った後に相手のモチベーションファクターを見極めることができるようになっている。働き方改革によって働き方が多様になるのは良いことだ。ただし、単に多様になるだけでは意味がなく、その多様なメニューの中から、自分のモチベーションファクターに合うものを選び取ったり、部下のモチベーションファクターを正しく見抜いて導くことこそが、働き方改革の成否を分けるカギなのだ。