オウム真理教教祖の麻原彰晃こと松本智津夫ほか、一連のオウム真理教事件で死刑判決を受けていた幹部合計7名の死刑が執行された。このニュースを聞いて最初に思ったのは、死刑廃止を訴えていた人たちの「正義」についてである。
絶好のチャンスを逃した
死刑廃止論者たち
麻原彰晃の死刑判決が確定したのは2006年。他のオウム幹部への死刑判決がすべて確定したのは2011年だ。この死刑判決確定は死刑廃止を訴えるアクティビストにとっては大きな「チャンス」だったはずだ。オウム事件のような大きな事件に関連してアクションを起こせば、メディアや世間の注目を集めやすくなるし、何よりも自分たちの「正義」を表現しやすくなる。
オウム真理教事件は、死者26人、逮捕監禁致死2名、殺人未遂1人、負傷者6300人という未曾有の大事件だ。その首謀者である麻原彰晃は「極悪人」と言っていい。松本サリン事件や地下鉄サリン事件のような、無差別テロも相当に悪質であることは言うまでもないが、オウム問題を追及していた坂本弁護士の一家を拉致して殺害、またジャーナリストの江川紹子氏に対しても殺害未遂、漫画家の小林よしのり氏に対して殺害計画を立てていた。弁護士やジャーナリストに対して殺害計画を立て、実際に殺害することは、民主主義の根幹に関わる犯行だといえる。