ところが、である。3ヵ月ほどすると再び親の強い要望で、生活訓練に復帰させられた。医師からは向精神薬を飲むよう指示されるが、Aさんは「薬を飲むとコリなどの疲れがひどくなって、体調が悪化するから」と言って拒んだ。すると医師は「じゃあ薬は必要ない」と診断したものの、生活訓練は続いた。当時の院長には舌打ちまでされて、Aさんはこの医療機関に強い違和感を抱いた。
 
「年金の支払いを止めたんですが、リターンされた返金は親の懐へ行ってしまったんです。山に行って自殺しようとしたんですが、このとき死にたいのではなく、家が息苦しいことがわかったんです」

 その後もAさんは、複数の「地域若者サポートステーション」に行ったものの、それぞれ「精神科に行くように」と利用を断られ、同じ若者就業支援施設の「ジョブカフェ」に行っても「疲労の回復が極端に遅い」ことを理由に拒否された。

親も学校も精神科医も
自分を面倒臭がった

「完治のための支援をしてほしい。親のほうにも問題があるのに、完全放置しているのが苦しい」

 そう指摘するAさんは、「まずは精神科が関わらない居場所が欲しい。そして、自分の決めたゴールに沿った支援が欲しい」と望む。また、親に対して思うことをこう話す。

「強要ではなく、会話をしたかった。でも、もう諦めている。届いた手紙を勝手に捨てないでほしい。心配されてもうっとうしいので、もう何も言わないでほしい。そばに親がいるだけで疲れる。お金を返してくれたら、そのまま出ていって縁を切りたい」

 障害年金も更新しなかったため、手帳も持っていない。現在も制度の谷間に置き去りにされ、引きこもらざるを得ない状態で生きている。

 Aさんは訴える。

「親は、考えることを面倒くさがった。学校は、子どもの特性に合わせることを面倒くさがった。精神医学が、薬以外の治療を面倒くさがった。その他の支援者や家族に向き合うことを面倒くさがった。身動きが取れない状態に陥った当事者自身が、助かることを面倒くさがることもある。“面倒くさい”が重なった結果、引きこもっていることを知ってほしい」