スーツも“シェア”の時代が来たようだ。
紳士服大手のAOKIホールディングス(HD)は、今年4月末に、ビジネスウェアの定額レンタルサービス「suitsbox」(スーツボックス)を開始した。suitsboxは月額2万4800円・1万5800円・7800円の3コースで、2万4800円のコースではスーツ3セット、シャツ5枚、ネクタイ3本が毎月送られてくる仕組みだ。専門スタイリストがコーディネートしており、好みに合わせた商品が、裾丈などサイズの調整がされた状態で届く。クールビズやパーティースーツへの対応も可能だ。
suitsboxはオープンから2ヵ月で、すでに1000会員(無料会員を含む)に達したとみられる。suitsbox事業責任者の永沼大輔氏は「2020年に有料会員1万会員という目標でスタートしたが、来年からはPRも行い、1年前倒しを目指す」と意気込む。
AOKIが2017年に新規事業としてサブスクリプション(定額利用)サービスである「suitsbox」のプロジェクトを開始したのは、「20・30代の客が店に来ない」という危機感が背景にあった。ただプロジェクト開始時点では、既存の店舗との競合を危惧する声も強かった。
しかし調査の結果、意外な事実が判明する。「店舗に来るのは40・50代で、戸建てに住み、車でやってくる男性客。そういう人は収納にもゆとりがあり、所有欲も高い。一方、『suitsbox』の顧客は、30・40代中心で、都心に住み、収納スペースが狭い、店舗とはまったく別の客層だった」(永沼氏)。