自分の名前が書かれた、精液検査の検体提出用の紙コップ自分の名前が書かれた、検体提出用の紙コップ。これに精液を入れなければならないのだが、意外と難しい

不妊の半分は男性側に原因がある――。WHO(世界保健機関)は意外なデータを示しており、「子供ができないのは妻のせい」という固定観念は時代遅れだ。不妊治療には男性側の理解と協力が欠かせない。しかし、不妊検査といわれてもピンとこない男性が多いだろうし、「若いから大丈夫」という過信があったり、プライドが邪魔をして踏み出せなかったりする。『週刊ダイヤモンド』7月21日号の第2特集は、「不妊治療最前線」。その拡大版として、男性不妊検査の第一歩である「精液検査」を受けた20代男性の実体験ルポをお届けする。(構成/「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 野村聖子)

 7月某日。都内のある不妊治療専門クリニックを訪れた。

 受診するのは、男性不妊検査の第一歩にして、最も基本的な「精液検査」だ。その名の通り、精液中の精子の数や、きちんと動いているかなどの状態をチェックする。

 なぜ、自分がこの検査を受けることにしたのか。

 それは、結婚前提で付き合っている彼女が、“ブライダルチェック”と称して、自分の体に妊娠しにくい要因がないかを検査しに行ったことを告げられたからだ。