問題は、菩提寺のほうです。墓石の解体撤去作業にかかる費用は30万円前後のようですが、住職から離檀料(*下記参照)として300万円を提示されてしまいました。

 結局、こうしたことにお金がかかり、相続した1000万円はきれいになくなってしまいそうです。それでもAさんは、全部すっきりさせて、かつ自分のことも決めておこうとポジティブに考えているのです。

 あなたは今何歳でしょう。相続もお墓も関係ないと言い切れる状況ですか?

 こうしたことは、普段「関係ない」と考えているからこそ、いざ、それが自分の身に起きた時にわけがわからず、とても苦労します。若いうちからいろいろシミュレーションしておいて損はありません。

 相続税を納める必要が生じるケースは全体の8%程度と言われており、大半の人たちは納める必要はありません。でも、相続税を納めないで済むなら「心配無用」というわけではないのです。相続は、相続税とは関係なくすべての人に起こります。そして、相続には揉め事がつきものなのです。

 Aさんの場合、一人っ子ですから、一人ですべてを取り仕切らなくてはならない苦労はあれど、資産の分割で兄弟と揉めなかったことは幸いでした。もし兄弟がいれば、家と1000万円をどう分けるかとか、誰が墓守をするかについて、センシティブな話し合いが必要になったはずです。話し合いで済めば御の字で、こじれて絶縁するようなケースも少なくないのです。

 お金の専門家の立場からすると、親は早くから自分の資産について、子どもたちにどう分けるかを検討しておいてほしいものです。それを子どもたちにも伝え、できれば「公正証書」を残しておくべきでしょう。

*寺院から改葬する場合、高額な離檀料を請求されるトラブルが起こることも。トラブルにならないようにお礼として10万~30万円ほど包んでおくとよい(本書p225参照)。