既に払って取り戻せない
費用を指す「サンクコスト」
経済学の概念に「サンクコスト」という言葉がある。日本語では「埋没費用」と言って、既に払ってしまったので、取り戻すことができない費用のことを言う。多くの場合、これにこだわることで損失が大きくなってしまうため、しばしば「サンクコストの呪縛」とも言われることもある。今回はこのサンクコストについて考えてみよう。
例えば、映画を見に行ったとしよう。面白いと聞いて出掛けてみたが実際に始まって30分ぐらいたっても全然面白くない、この映画は明らかにハズレだ。そんな風に感じたとき、一体どういう行動を取るだろうか。
席を立って映画館を出ていくか、それともチケット代として1800円も払ったのだから、もったいないので最後まで見るか。こういう場面に遭遇すると、多くの人は最後まで映画を見ることを選ぶ。
ここで重要になってくるのが“元を取りたい”という感情だ。ところが、残念なことに、いくら映画を見続けたとしても元を取ることはできない。なぜなら、既に払ってしまっている1800円のチケット代は、映画館を出ようが最後まで見ようが戻ってくることはない。おまけに、映画自体もつまらないので、払ったお金の価値には到底見合わないからだ。