ここ数年、高齢者による交通事故が社会問題化している。これからますます高齢ドライバーが増えていくことが予想されるなか、人の命に関わる問題のため、対策は急務だ。高齢ドライバーによる事故の実態、高齢者が事故を起こしてしまう要因や対応策などを、早稲田大学名誉教授で日本交通科学学会常任理事の石田敏郎氏に聞いた。(清談社 福田晃広)

実は増えていない高齢者の事故件数
ではなぜ、近年目立つのか?

高齢者ドライバーにとって、認知症は大きな問題です
交通事故件数全体が減少するなか、高齢ドライバーによる交通事故は件数がほぼ横ばいでも、全体に占める割合は増加しています(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 近年、高齢者による自動車事故がメディアで大々的に報道されている。たとえば、「ブレーキとアクセルを踏み間違えて、孫をひき殺した」、「高速道路に誤って入り逆走して正面衝突した」、「運転中、突然気を失って歩行者に突っ込んだ」といった事故が相次いでいる。

 しかし、石田氏によれば、実は50年ほど前から、高齢者による交通事故件数にはそれほど変化がないという。

「65歳以上の高齢者による事故件数は、その年によって大きく減るときもありますが、ほぼ横ばい。しかし、その他の若い世代による事故件数は減少しているため、全体として高齢者による事故の割合が増加傾向にあるのです。それに加えて、メディアで大きく報じられることで、高齢ドライバーの事故が最近特に目立つようになっているというわけです」(石田氏、以下同)

 警視庁のデータでも、2008年の高齢ドライバーによる交通事故発生件数は、6840件、事故全体に占める高齢ドライバーの事故割合は11.1%だったが、2017年は、事故件数が5876件と減ったものの、事故割合は17.9%と、逆に跳ね上がっている。