スーパーコンピューターの開発をめぐり、助成金6億5300万円をだまし取ったとして社長が逮捕、起訴されたペジーコンピューティングのスパコンが6月、昨年に続きスパコン省エネランキング「Green500」で世界一となった。
ペジーの技術が社長逮捕後も世界水準にあることを証明したわけだが、今後も技術力を保てるかどうかは不透明だ。国の支援に頼れなくなる中で、研究開発費を確保するのは容易ではないからだ。
世界レベルのスパコンを短期間で開発したペジーの齊藤元章前社長は「天才」などと持ち上げられていたが、逮捕後は一転、公金の詐取だけでなく、同社の技術の信ぴょう性すら疑われている。
一部報道などが疑義を呈しているのは、サーバーを特殊な液に浸して冷やす液浸冷却の省エネ性能で、ペジーの“強み”そのもの。実はGreen500は冷却用の消費電力量を評価対象外にしている。そのため、ペジーのスパコンを、現在、非公開になっている冷却を含む消費電力量で評価すると、省エネ性能に劣ることが明らかになるのではと疑われているのだ。
ペジー関連会社で冷却システムを開発するエクサスケーラーは本誌の取材に対し、この疑惑をきっぱりと否定した。
白いものまで黒と疑われても無理からぬ事情はあるが、ペジーの技術の価値は冷静に評価するべきだろう。