コンビニエンスストアやドラッグストアに押され放しだった食品スーパー(SM)の逆襲が始まった。イオンは傘下のSM各社の全国的な再編に実行する方針だし、東海地方地盤のSM、バローは生鮮食品が売上高の50%超のSMの出店を開始するなど、SMの攻勢が目立ってきた。コンビニには総菜やファストフードで売り上げを食われ、ドラッグストアには加工食品の安売りで売り上げを食われてきた。しかも最近の「料理作らない化」傾向もあり、食材が中心の品ぞろえのSMはこのところさえなかった。巻き返し策によって再び小売業界で存在意義を示すことができるか――。(流通ジャーナリスト 森山真二)
コンビニにやられっ放しだった
食品スーパー
食品スーパー(SM)というと、真っ先に思い浮かべるのが生鮮食品と総菜ではないだろうか。特に総菜の種類の豊富さはコンビニの比ではなく、出来立てが買えるとあってファンは少なくない。
しかし、その総菜はコンビニにやられっ放しだった。
日本惣菜協会の「惣菜白書」によると、今から約10年前の2009年のコンビニの総菜売上高は2兆957億円、これに対しSMの総菜売上高は1兆9534億円で、その差は約1400億円しかなく、両者は拮抗していた。
だが17年にはSMが2兆6205億円だったのに対し、コンビニがSMを大きく上回る3兆2289億円となり、その差は6000億円も差がついてしまった。
コンビニの店舗数が増えたこともあるが、弁当以外にシニア層や有職女性の取り込みを狙って、ポテトサラダなどレトルトパウチの総菜やハンバーグなどの総菜を拡充。SMのバックヤードで調理した出来立てを提供するというSMの有利点にも勝るとも劣らない、質の高い総菜をコンビニ各社が販売し始めていることが大きく伸びた理由だ。