東京・神田駅近くにある居酒屋「馬力」で提供している高アルコール生ビール「バリキン」東京・神田駅近くにある居酒屋「馬力」で提供している高アルコール生ビール「バリキン」。安く早く酔えるのがウリだという Photo by Izuru Kato

 東京・神田駅の近くに「馬力」という居酒屋がある。7月28日に出演したBS-TBSの経済番組「週刊報道Bizストリート」で、この店で人気の「バリキン」(590円)が紹介されていた。生ビールに焼酎を加えてアルコール度数を高めたという飲料だ(生ビールより100円高い)。

 店内で取材を受けていた酔ったおじさんたちの話によると、安く早く酔える点が最大の魅力だという。以前は生ビールを3杯飲んでいたが、バリキンなら2杯で済むので支出を抑えられるそうだ。

 日本経済をけん引する働き盛りの世代からそういった発言が出てくるのは少々ショッキングである。日本銀行の超金融緩和策が始まってから5年以上たつのに、消費者の節約志向は依然として強い。

 日銀は7月31日の金融政策決定会合で、超金融緩和策の副作用に部分的に対処する姿勢を示しつつ、現行の超低金利政策を継続する考えを強調した。日銀が懸念する副作用には次の二つがある。

 第一に、超低金利環境による金融機関の収益圧迫問題だ。このまま金融機関が次の景気後退期に直面したら、損失を吸収できるバッファーがないだけに金融システム不安が台頭する恐れがある。

 第二に、国債の金利を日銀があまりに管理し過ぎたために、国債市場の機能がまひしてしまった。株価指数連動型上場投資信託(ETF)購入が株式市場をゆがめている点も懸念される。