資金援助をされたことで、本来なら住むことがなかったかもしれない高級住宅街に家を買う。あるいは、子供を小学校から私立に入学させる。そこでとどまればいいものを、そうしたエリアやコミュニティで出会う周囲の人たちと接するうちに、日常の生活までちょっとずつ高級になっていく……。それが悲しい人間のさがなのだ。

 妻が教育の贈与を、夫が不動産購入のための贈与をそれぞれ受け、非課税で多額の資金を得た夫婦の男性は、「家も買ったし、教育資金の心配も必要ないからでしょうかね。妻は毎年ハワイに行くのが当然だと思っている節があります」とこぼす。ただし、この男性も車は外車しか買ったことがないというから、妻ばかりを責められないだろう。

 本来の年収という実力よりもかさ上げされているのに、それに気付かずに、消費していく。しかし、親からの援助はいつまでも続かないのだ。

 何より、そうしてもらい過ぎて、将来、親の財産がなくなった場合、介護や生活の資金を工面するなど、面倒を見るのは自分たちなのだ。いってみれば、もらい過ぎは、ブーメランのように返ってくる危険性がある。

 しかも、高齢者は自身の家計が少しくらい苦しくても見えを張って子供に正直に言わないものだ。だから、最後の最後、かなり困窮した状態で、判明することもある。つまり、ある日突然、双方が途方に暮れる状態がやって来るのだ。

支出を控え
子供への贈与は
計画的にしよう

 そんなあげ過ぎ貧乏、もらい過ぎ破綻に陥らないようには、どうすればいいのか。

 厳しい言い方になるが、退職した世代が家計改善のためにできることは少ない。なぜなら、多くのFPが指摘することだが「収入を増やすことが難しい」からだ。