米国株が好調だ。割高であると言われているほか、米中貿易戦争の悪影響なども懸念されているにもかかわらず、史上最高値をうかがう勢いだ。筆者は株価の予想をする立場にないが、「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中で消えていく」という相場の格言が頭をよぎる。そこで今回は、景気の予想屋の立場から、この格言について考えてみる。
他人と違うことをやれ?
上記の格言は、米国の著名投資家であるジョン・テンプルトンの言葉だ。投資家心理として、「人の行く裏に道あり春の山」と似たものだろう。皆が悲観的になっているときは買い場で、皆が楽観的になっているときは売り場だということだ。
しかし一方で、「株価は美人投票だ」とも言われる。他人と同じことをしないと儲からないというわけだ。こうした相反する言葉について、どのように考えればいいのだろうか。筆者は、「短期売買で儲けるなら美人投票、1年持つつもりなら裏の道探し、10年持つつもりなら現在の相場を見ずに対象企業のことだけ調べる」と考えている。
需給面から見ると、皆が売る「セリングクライマックス」で売りたい人が売り終わり、「買い注文は少ないが、売りたい人が残っていないので自然と上がる」といったこともあるかもしれない。