秋葉原の電気街
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 昨年秋、小売り大手が相次いで値下げをしたことは記憶に新しい。労働力不足で人件費が上昇しつつある中での値下げだから、これは「過当競争」である可能性が大きい。

 消費者にはなじみが薄いが、実は銀行の貸出金利も過当競争で下がり続けている。それを見た金融庁は、このままでは地銀が共倒れになるとして、地銀の統合を進めようとしている。

 零細企業であれば、経済のことがよく分からず、誤った価格設定をすることがあるかもしれないが、大手の小売業や地方銀行などが誤った価格設定をするはずがない。問題は、各自が「合理的な選択」をしているがゆえに、皆がひどい目に遭っている、ということだ。

 個別の事情を見ていけば、「薄利多売を狙って値下げをするのは合理的だ」といった可能性もあるが、本稿では一般論として過当競争が起こる理由について考察してみよう。

ライバルがどうしようと
値下げはすべし

 ある日、A社の社長は考えた。「B社が値下げをするか否かは不明だ。わが社はどうすべきだろうか」と。しかし、悩む必要がないことに気がついた。