友人・知人が動画をアップロード
話題の動画投稿アプリからSNS特定

 都内の女子大学に通う野上さん(仮名、20代女性)は、「TikTok(ティックトック)」というアプリにハマっている。芸人のくっきー(野生爆弾)が出演しているテレビCMなどでその名前を聞いたことがある人も多いだろう。10代~20代前半の若者に人気の、動画投稿アプリだ。

 TikTokには、短い音楽に合わせてダンスを踊ったり、部活やメイク、イラストなどの特技を披露したりしている若者の動画がたくさん投稿されている。野上さんは、自分では投稿をせずに人気の動画を眺めているのが楽しくて利用していた。

「私自身は、別にダンスもできないし特技もないし、動画を投稿する気はまったくありませんでした。でも、参加しているサークルの行事で『通っていた高校の制服を着て出し物をしよう』ということになったとき、同期の子が数人集まって動画を撮ったんです。思い出だから!と押し切られてしまって。そのときは楽しかったし制服でコスプレをしていたテンションもあって、まあいいかと思いました」(野上さん)

 それから数日して、野上さんは自分のTwitterのフォロワーが十数人も増えていることに気づいた。顔見知りの友達としかフォローし合っておらず、ほとんど投稿もしていないアカウントだ。なぜだろうと思っていると、知らない人からDM(ダイレクトメール)が届いた。

「DMの内容は『TikTok見ました! ○○高校の制服を着ていた人だよね?』というものでした。今までそういうことはなかったので、すごく怖かったです。なぜ私のアカウントだとわかったのか聞いてみると、サークルの同期のTikTokアカウントから大学とサークルを特定し、制服から出身高校を特定、そして、その情報をもとにTwitter検索で動画に参加した人たちを探して、まとめてフォローしたという流れだと言っていました」(野上さん)

 野上さんを「特定」してDMを送ってきた人は、「悪気があったわけではなく、ただ動画が面白かったのでファンとしてフォローした」と言っていたそうだ。それでも、たった一本の動画投稿だけで出身高校や名前、友人たちと狭い範囲で利用していたTwitterアカウントまで芋づる式にわかってしまうことが怖かった。そのうち、一人暮らしをしている自宅や実家までわかってしまうのではないかと不安になってきた。

 野上さんは、DMを送ってきた人をはじめ、動画投稿後に新しくフォローしてきた人たちを全てブロック。それまでのツイートはすべて削除し、アカウントには鍵をかけた。しかし、サークルの同期に「動画を削除してくれ」とお願いしたが、恐怖や危機感をわかってもらえず、今もその動画はTikTokに残っている。